初めて訪れる港の一つにロシア・サンクトペテルブルクがある。ロシアといえば、「エルミタージュ美術館」
や「エカテリーナ宮殿の琥珀の間」などが観光スポットとして有名だ。これらも見てみたいとは思うのだが、
「メンデレーエフ博物館」や「国立鉱山大学の鉱物標本」の方に魅(ひ)かれるのは "Mineralhunters"
の性(さが)だろう。
「メンデレーエフ博物館」の存在を知ったのは、次のページがきっかけだった。
・ 113番元素の合成・発見
( Synthesis and Discovery of No113 Element , Yamanashi Pref. )
説明会の会場で、旅行会社の担当者に「サンクトペテルブルクに寄港した時に、自由行動で鉱山
大学やメンデレーエフ博物館に行きたい」と話すと、「ロシアでの自由行動にはビザが必要です」と言
われ、今時観光で訪れるのにビザがいる国があるんだと正直驚いた。国が国だから仕方ないか、と妙
に納得する MH だった。
たしかに、今から40年近い昔の1978年に私が初めて海外出張でアメリカに行ったときには、仕事だか
らだったのかビザが必要だった。
さっそく、ロシアのビザ取得に向けて動き出した。
( 2015年12月〜2016年4月 体験 )
@ オンラインで必要事項を記入し、印刷した申請書、本人の署名が必要
A カラー写真1枚(縦4.5センチ×横3.5センチ)
B パスポート(残存有効期間がロシア出国時6ケ月以上)
C 日本の旅行会社発行のバウチャー(予約確認書)原本
または、現地旅行会社発行のバウチャーのコピー
D 現地旅行会社(インツーリストなどロシア外務省に登録されている旅行会社)からの
旅行確認書(個人申し込み番号を記入したもの)
E 海外旅行保険証
”バウチャー(VOUCHER)” など、初めて聞く単語に面食らう MH だった。@〜Bは自分で準備・確認
できるが、CとDは旅行会社に手数料を払って準備をお願いした。
ただ、ロシアの旅行会社が旅行確認書を作成する上で、サンクトペテルブルクでの行動予定表を
英文で作成するように指示があった。
E は必要だと思いこんでいて、ロシア滞在期間中だけ加入できる海外旅行保険をネットで検索
すると、1日だけでも4,000円前後かかりそうだった。「地球の歩き方」やネット情報を調べると、「日本
人は保険に加入していなくても良い」とありヤレヤレ一安心だ。
書類は揃っていなかったが、練習のつもりでオンラインで「ビザ申請書」作成・印刷してしておいた。
3月中旬を過ぎても旅行会社からの書類が届かず、”ヤキモキ”していたが、千葉の孫娘の幼稚園の
卒園式があるというので、6日間ほど留守にしていた。
帰宅してみると、留守の間に旅行会社からの分厚い封筒が届いていた。その中には、ビザ申請に
必要な書類、日本旅行会社発行の「バウチャー」とロシア旅行社発行の「招待状」が揃っていた。
「招待状」 「旅行確認書」
【ロシア旅行会社発行】
これで書類が揃ったのでインターネットでロシア大使館の「ビザ申請」のページにアクセスしたが、ロシ
ア語のJavaスクリプト(?)が表示されるだけで日本語のページが開かない。何回かトライしても同じ
現象だ。
まず、不在の間に私のPCがウイルス感染したか何かで、正常に接続できないのではないかを疑った。
最悪、マンガ喫茶などでPCを借りて申請手続きをしないとダメかとまで思い詰めた。しかし、メールや
ほかのURLには接続できるので、ロシア大使館側の問題だろうという気にもなった。
3、4時間たって再びアクセスすると、”スンナリ”ビザ申請のページが開いた。必要情報を入力して、
印刷したフォーマットを見てまたもや驚いた。1月に印刷したものは1ページだったのに、2ページになって
いるし、1月のにあった『双頭の鷲』の国章もなくなり、なんとなく”安っぽく"て威厳がないのだ。
とは言え、3月に印刷したものにもバーコードはあるし、写真を貼付する欄もある。とりあえずこれを持っ
てビザ申請に東京のロシア大使館に行くことにした。まだ入力していない箇所があるので、役に立たな
いとは思うが、1月にプリントアウトしたのも持って行くことにした。
通用口のようなところから入り、曲がりくねった(わざと?) 通路を進むと建物の入り口だ。中は
待合室のようになっていて、その奥がガラス張りの申請・交付の窓口になっている。
先客が2、3人いたが、”ビザ取得業者”のようで、大使館員とも顔なじみのようだ。どうしたら良い
のかわからず”ボケっと”立っている私に、「番号札を取る」ことを教えてくれた。
順番を待っている間、皆さんの話を聞くともなく聞いていると、「申請の書式が変わっているようだ」
というのが聞き取れた。その人が呼んだ大使館員から、「書式が変わって、また変わるかも知れな
い。古い書式でも良いですよ」、と聞いて一安心した。
思うに、アクセスしたが繋がらなかったのは、システムの入れ替えをやっていたせいだったのだろうと
合点した MH だ。
私の番になって、パスポートと申請書類一式を引き出しの中に入れると、中にいる館員が引っ張
って書類を受け取り、という初めて見るシステム(?)だ。
提出した書類をチェックしていた申請受付係が隣の交付係に一言二言話してkら、交付係から
「いつまでに」と聞かれた。ビザがいつまでに欲しいのかという意味だろうと思い、「4月6日以降」と答
えると、黄色い「引き換え証」のようなものを1枚渡してくれた。料金は無料だった。この間、10分ほ
どで、遠路はるばる来たのに、あっけなく簡単に終わったのには拍子抜けするほどだった。
どうやら、急がせてビザを取得するときには、その日数に応じた”特急料金”がかかるという、ロシア
らしい合理的な(?)料金体系になっているようだ。労働日とは、土曜、日曜、ロシアの祝休日を
除いた日のことだ。
申請から受領までの日数 | 手数料 | 備 考 | 11労働日 | 無料 | 3月23日に申請したので 4月6日以降受取る場合 |
4〜5労働日 | 4,000円 | 3労働日 | 8,000円 |
無事ビザの申請が終わったので、旅行会社の担当・Iさんにお礼の電話を入れたが不在とのことで、
伝言をお願いしておいた。
折り返しIさんから、電話があり、「ビザのコピーを乗船するときにレセプション(受付)に提出して
ほしい」とのことだった。
4.2 受領
申請して、2日も経った頃、旅行会社のIさんから電話があった。「社内のビザ担当者の話では、
大使館によっては指定した受け取り日を過ぎると受け取れないことがある」、ということだった。
「4月6日以降に受け取る、と言ってあるので前泊する横浜に向かう11日に受け取ろうと思う」、と
伝えたが、少し心配になってきた。
そんな折、ベルギーのブリュッセルでテロ事件が発生した。これを受けて、ベルギー・ゼ―ブルージュ
への寄港が中止になり、その代りにイギリス・ドーバー港に寄港するように旅程が変更になった。
旅先から孫娘はじめ友人・知人に送る絵葉書に貼る切手がイギリス分が全くないし、足りない
国もあるので、4月6日にビザを受取りに行くことにした。
( 4月11日は月曜日で切手を売っている店がすべて休みなのだ )
大使館に着き、「引き換え証」を出すと、ビザを貼ったパスポートを返してくれた。
こうして、ビザを取得し、ロシアでの自由行動が約束された。この成果は、2016年6月以降に『ロシア
編』でお知らせする予定だ。
金銭で買えない体験をしておこうと自分でビザの申請から受け取りまでに取り組んだ次第だ。
その手始めに、「ロシアビザ取得記念」カバーを作成した。
3日後には、甲府出立だ。